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【雑記】休日の散歩道『シャガール マティス ルオー 三人の画家の版画集』メナード美術館 など

 
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 メナード美術館に足を運んだ。
 開催中の展覧会は、『シャガール マティス ルオー 三人の画家の版画集』。後期日程の作品が展示されていた。前期日程も見たけれど、後期日程はルオーの展示作品が多いので楽しみだった。
 感想はとても良かった。ルオーの『ミセレーレ』は、58枚の作品が全て展示されていた。色は全て黒のモノトーン。ルオー独特の太い線で描かれたシンプルな構図の作品群。シンプルだけれど、見れば見るほど人の表情は豊かだし、ポーズの形にはキレがあるし、場面の構成は洗練されていてとても良かった。少し距離を置いて絵を全体的に眺めてみると、モノトーンの色合いがきれいに見えた。ルオーの描くキリスト像は味わいがあって好きだ。これで、キリスト教のことをよく知っていれば、もっと深く作品を味わうことができたのかな。
 マティスの『ジャズ』は半分の10枚が展示されていた。ぱっと見、何が表現されているのか分からないし、紙を切ってペタペタ貼り付けただけの、一見稚拙な作品に見えなくはない。マティスがどのようなイメージを頭に浮かべて一つ一つの作品を表現したのかは分からないけれど、実際絵の前に立って眺めていると、何だかよくは分からないけど、きっとすごい。理由は、絵をずっと眺めていられたから。それぞれの形、全体の構図、色合い。それらが絵全体としてバランスを保っていて全く違和感がなかった。それは、長年描き続けて身につけたバランス感覚なのだろう。
 シャガールは、『神々の大地で』から10枚、『「アラビアン・ナイト」からの4つの物語』から12枚、『サーカス』から15枚の作品が展示されていた。ここ最近、シャガールを目にする機会が度々あった。悪くはないけど、シャガールってどうなの?というのが自分の感覚だった。ただ、今回『サーカス』の版画を見て、「シャガールって、いいよね。」に切り替わった。二枚の作品がとても良かった。ひとつは、青い会場に照らされた白いライトの中で自転車の曲芸をしている作品。もうひとつは、空中ブランコの傍らでいくつかの輪っかをお手玉のように投げ上げている作品(記憶が曖昧で適当)。シャガールは色の表現が独特なのは感じていたけれど、何度も繰り返し目にしているうちに、その凄さが少しずつ浸透し始めた気がする。
 展覧会以外の作品は前期とほぼ同じ内容だった。工芸彫刻だと、ガレの花入れは姿形、模様、色の表現が相変わらず良かったし、マリノ・マリーニの『馬と騎手』は、馬に乗った男の子っぽい騎手が手を広げてる木像で、見ていて気持ちが大きく広がるのを感じた。船越桂の『月の降る森』は女性の半身彫刻だけれど、その凛とした表情と佇まいからは、澄み切った月夜の静寂感が伝わってきた。あとは、前回どこに展示されているのかわからなかったマティスの『肘掛け椅子の裸婦』のブロンズ像も発見して見ることができた。
 絵画も、精鋭ぞろいだった。中でも、モネの『チャリング・クロス橋』は本当に素晴らしかった。淡い色彩で描かれた水面の光が、目の前で見ると本当にキラっキラと輝いて見えた。モーリス・ユリトロの『教会』は白の色合いが良かった。あとはジュール・パスキンの『バラ色のリボンの少女』は、椅子に座って訴えるようにこちらを見つめてくる少女の視線にとても惹きつけられた。

 メナード美術館は年間パスポートの販売もしていることを最近知った。近くに住んでいたら確実に買うだろう。何度でも足を運びたくなるような上質な作品ばかりが展示されている。所々に配置されたメナード美術館所蔵品の図録を手に取って眺めたら、見てみたい作品が目白押しだった。彫刻だと、名古屋市美術館で現在展示中の平櫛田中の『釣隠』はメナード美術館の収蔵品だし、高村光雲がこしらえた『うなぎ』は写真で見ただけでも、うなぎ感が溢れ出していた。他には人間国宝の鹿児島寿蔵の作品もあった。絵画だとモローの『サロメの舞台』もあったし、岸田劉生の『麗子像』もあった。大観も北斎もあり、その他にも目に留まる作品が山のようにあった。

 見終わったあとは、前回同様、小牧山に登ろうかと思ったけど、気分がのらなかったのでやめた。そのかわり、今回は市民のソールフードといわれる『ほていや』のたこ焼きを買って食べ、小牧を後にした。こんな感じ。

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