初めての香嵐渓。
香嵐渓に行った。紅葉はピークを少しばかり過ぎていて、色あせ始めてはいるものの、まだまだ十分に見頃だった。到着は朝の8時過ぎ。着いてからは全くのノープランだった。バス停を降りると目の前に足助八幡宮、足助神社があったので参拝した。トイレに行きたくなるも見当たらず、神社のスタッフに尋ねたところ、向かいの駐車場にあるとの回答。トイレ目的で立ち寄った駐車場で、運良く紅葉の見どころマップを入手することができた。おかげで地図を参考に紅葉スポットを見て回ることができた。初めての香嵐渓だったので、まずはひとまわりぐるりと見ようと思ったけど、景色が良すぎてついついカメラに手が伸び、立ち止まることが多かった。山一面に広がる赤、黄、緑の彩りは絶景かな、「美しい」の一言に尽きた。そこかしこに絶景スポットがある中で、ここが一番良かったという場所を聞かれたら、「香積寺」かな。境内から門を通して見る紅葉シーンがとても良かった。薄暗い境内と門が画のフレームとなり、その枠の中に日に照らされて光り輝く紅葉が映し出されている。自分だけではなく、その景色を残したいと思う人たちが何人も何人も門の手前でカメラを手にして立っていた。余談だけど、モミジといえば赤というイメージがあるけれど、今回、黄色のモミジもとても良いと思った。黄色のモミジは、日を浴びると金色に輝いて見える。その色合いが、ただ単純にとても美しかった。
香嵐渓でモミジを見るのは当たり前のことだけど、足助の古い町並みもまた一見の価値ある場所だった。足助は江戸の頃、海の産物(塩など)を山に運ぶ要所として栄えていたらしい。1775年に大きな火事があり、町の大半は焼けてしまったけど、すぐに再興され、その頃建てられた建物が今でも数多く残されている。それが、足助の古い町並みである。紅葉ついでに、250年ほど前の江戸後期の街並みにタイムスリップできるというのは、観光としては一粒で二度おいしいと言える。建物は、時の流れに任せて朽ちるのを待つのではなく、人が住み、しっかりと維持管理されている。中には、軒下に干し柿がいくつも並べてぶら下げられている家もあった。この足助の古い町なみは「重要伝統建造物群保存地区」になっていて、愛知県内では一番始めに登録された場所である。県内にはもう一つ、名古屋市内の「有松の町並み」があり、全部で2件のみである。今回は初めての観光だったので、地図を見ながらさらっと一回りした。地図の中に観音山というちょっとした山があり、モミジスポットということで登ってみた。すぐに登れてしまう小さな山だけど、紅葉と、そこからの見晴らしはとても良かった。古い町並みのためか、神社や寺などがいくつかあるので、好きな人はより楽しむことができるだろう。
あと、観光の楽しみといえば、土産店がある。今回は紅葉シーズンということで、露天も数多く軒を連ねていた。定番のタイ焼き、お好み焼き、たこ焼きに始まり、コリアンドッグ、りんご飴、チョコバナナ、他にはキレイに紅葉したモミジの木の下にお面の露天があった。土産店で気になったのは、イナゴの佃煮、足助の地酒、あとは五平餅。先日長野に行って以来、ずっと五平餅が気になっていたので、両替のついでに一つ食べてみた。今更五平餅に感動することはないけど、こういう味だったなという旅行感を楽しむことはできた。香嵐渓で、自然の景観を楽しむなら、紅葉以外なら、3月中旬のカタクリの花、4月中旬~5月上旬の新緑のシーズンがある。ちょいちょいお祭り事もやっているので、その時気が向いたら、足を運んでみると足助の違った表情を楽しめるのかもしれない。次に香嵐渓に行くことがあれば、今回行きそびれた飯盛山の山頂や、足助城、古い町並みを流れる川のすぐ脇を通る小路を歩いてみたい。